先週は、南魚沼市にある「八海山」の本社にて終日見学をさせていただきました。
今回の大きなトピックは、通称『大吟醸』と呼ばれる浩和蔵(こうわぐら)の中を見学させていただきました。
八海山は、清酒造りにおいて『浩和蔵』と『第二浩和蔵』の2つの蔵があり、浩和蔵は全体の製造量の2%を製造を行っています。
そこは、八海山の酒造りの技と精神を受け注ぐ「八海山の背骨」とも呼べるような場所です。
他の蔵にはない、もっとも特徴的な取り組みとしては、この浩和蔵で造る、一年に一度つくる特別なお酒「自家用大吟醸」です。
「自家用大吟醸」は技術と精神の継承を目的としつつ、八海山全体の指針を決める大切なお酒。通称「飲む経営方針」です。例えば、「自家用大吟醸」づくりにおいては、30分に一回の番を行います。もちろん、夜中も、寝ることなく。
そうして命がけで完成させたお酒は、驚くことに市場には出回りません。その特別なお酒は、八海山全体の意思統一のために、社員全員に配られるそうです。
一見すると「狂気の世界」です。しかし、その徹底した酒造りを通じて技術と精神を継承し、組織全体の意思を統一していく。そこに私は、「狂気の中にある合理的な美学」を感じました。
なお、自家用大吟醸の麹造りの様子はYoutubeで見られますので、是非ご覧ください。身が引き締まります。
◆八海山 自家用大吟醸 製造風景URL◆
https://www.youtube.com/watch?v=R-eHWjkgOfc
それでは今週の日本酒NEWSです🍶✨
🍶トピック🍶
①ジェトロ、北京・上海・成都の53店舗で日本産酒類販促PRイベントを実施
②西日本最大級の試飲商談会「WINE&SAKE KANSAI 2026」開催決定
③緑川酒造、新ブランド立ち上げ(新潟県)
①.ジェトロ、北京・上海・成都の53店舗で日本産酒類販促PRイベントを実施(詳細はコチラ)
ジェトロと在上海日本総領事館は、2026年6月3日から7月12日まで、中国の上海、北京、成都の3都市で日本産酒類の販促PRイベント「Sake Overflow 2026」を共催しました。今回は過去最多となる計53店舗の飲食店が参加し、一般消費者の認知度向上と消費促進を図りました。
(右)インフルエンサーがREDでライブ販売を行う様子
(ともにジェトロHPより引用)
今回初の試みとして、WeChat(※)ミニプログラムを通じて参加者の利便性と回遊性の向上を図りました。店舗情報の検索、スタンプラリー、電子チケットの購入、ミニゲームを通じた商品や連携店の紹介などのサービスを提供しました。
(※中国で普及しているメッセージアプリ。 日本では知名度が高くありませんが、10億人を超えるユーザーが存在する巨大なプラットフォームとして世界的に知られています。)
またイベント期間中は、店舗での販促活動に加え、有力ECサイトでのオンライン販売やインフルエンサーによるライブ配信も実施されました。対面での体験とデジタル戦略を組み合わせることで、中国市場における日本産酒類の認知度向上と新たな需要の掘り起こしを図っています。
今回の取り組みで興味深いのは、53店舗という多くの飲食店を巻き込みながら、ECやSNS、KOLによるライブ配信まで組み合わせている点です。イベント会場だけで完結させず、普段利用する飲食店での体験からオンラインでの情報発信・購入まで、複数の接点を設けています。
②.西日本最大級の試飲商談会「WINE&SAKE KANSAI 2026」開催決定(詳細はコチラ)
株式会社グローバル(大阪府)は、2026年10月15日(木)に大阪駅西口直結「大阪ステーションホテル、オートグラフ コレクション」にて、料飲店・酒類業界関係者限定のワイン・日本酒試飲商談会「WINE&SAKE KANSAI 2026」を開催すると発表しました。

ワインメーカーやインポーター62社に加え、全国各地から気鋭の蔵元13社、計75社が出展予定です。会場では新商品の試飲だけでなく、プロのソムリエによるパフォーマンスや専門性の高いカクテル実演、開業支援のための個別相談ブースなど多彩な企画が実施されます。さらに、最新のワイン関連機器や多目的グラスの提案を通じて、人手不足の解消やサービスの付加価値向上といった現場課題の解決も目指しています。
日本酒をワインと同じ商談会の中で提案する点で他には見られない取り組みです。特に「レストランでのむ酒」というテーマ設定は、日本酒の飲用シーンを和食店に加えて洋食を含めた幅広い飲食店へ広げる可能性があります。
ワインを扱うソムリエや料飲関係者に日本酒を実際に飲んでもらい、料理との合わせ方や提供方法まで提案することで、新たな販路や飲用シーンの開拓につながることが期待できます。
③.緑川酒造、新ブランド立ち上げ(新潟県)(コチラ)
新潟県の緑川酒造は、新ブランド「Phenomeno(フェノメノ)シリーズ」を立ち上げ、その第一弾としてミズナラの木桶で発酵させた日本酒を発売します。

「Phenomeno 水楢/MIZUNARA」は、一般的な金属製タンクではなく希少な国産オーク材を使用することで、独特で繊細な香りと、甘味と酸味の優れた調和を実現しました。地元魚沼産の酒米「北陸12号」を原料とし、ワイングラスで冷やして飲むスタイルを提案することで、従来のファンのみならず洋酒を好む層への浸透も目指しています。
内容量は720mlで、希望小売価格は2,350円。国内の特約店へ初回は4000本を出荷する予定です。
ミズナラはジャパニーズウイスキーの熟成樽にも使われ、その独特な香りが世界的にも評価されている日本ならではの木材です。今回、それを「熟成」ではなく日本酒の「発酵」に使っている点が斬新です。
今後、日本酒は「きれいで飲みやすい」が一辺倒だった時代から、香りや酸味、熟成などを含めた複雑味をどのようにつくるかが、商品を差別化する一つの方向になると考えています。ミズナラ木桶という新しいアプローチは、日本酒の味わいの幅を広げる象徴的な取り組みと言えます。
😀{このたび、アジアのビジネス情報を発信するNNAカンパサール(共同通信グループ)に、私のインタビュー記事を掲載いただきました。 連載「アジアのフードビジネス新潮流」第5回として、タイトルは、 「『獺祭以外モ、アリマスカ?』 カンボジアで広がる日本酒」 です。記事リンクはコチラ
記事では、カンボジアにおける日本酒市場の最新事情をはじめ、
・米食文化を背景に日本酒が受け入れられる可能性
・カンボジア料理とのペアリング、日本酒市場を育てるための「教育」の重要性
・若い世代への新しい日本酒の提案
などについてお話しさせていただきました。
私自身、カンボジアで日本酒を販売するだけではなく、「日本酒を飲む人そのものを増やし、市場を育てていく」ことが重要だと考えています。現地で活動しているからこそ見えてきたカンボジアの日本酒市場についてまとめていただいておりますので、ぜひご覧ください🍶✨

